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近況
2019年
2月15日
ようやく修論発表が終わった。博士進学も問題ないとのことで、安心した。
次に気持ちを切り替えていきたい。まずは、遠藤先生含む何人かの人には話した、Engel同相群に関する論文を早く完成させないと。
また、展開写像が被覆写像にならないEngel多様体を、Cartan延長の被覆空間に埋め込めないかどうか考えている。
埋め込めるような気がしていて、証明のアイデアもあるけど、ちょっと面倒くさそう。
3月8日
arxivに投稿したEngel同相群の話が反映された。
いきなり間違いを見つけた。全く本質的ではないけど、雑誌投稿するときには直そう。
Cartan延長上の被覆空間に埋め込めないEngel多様体は普通にたくさんあった。
論文にするほどでもないのでここにメモ。
二つの3次元接触多様体A,Bを、別の接触多様体Cを"のりしろ"として貼り合わせると、一つの接触多様体ができる。
Aの上にはCartan延長のn-被覆Xを、Bの上にはCartan延長のm-被覆Yを、Cの上にはCartan延長の開部分空間Zをとる。(ただしn≠m)
二つのEngel多様体X,Yを、別のEngel多様体Zを"のりしろ"として貼り合わせると、一つのEngel多様体ができる。
これはCartan延長の中には埋め込めない。
Lorentz多様体の時間方向のノルムを0に近づけると、その極限としてcorank=1のサブリーマン構造が現れる。
どうやらこの操作によって、Cartan延長はLorentz延長の極限と見なせるらしい。
サブリーマン多様体に興味が湧いてきた。でもその前にh-原理を勉強したい。
4月11日
h-principleの勉強中。『Partial Differential Relations』Gromovを読んでいるけど、証明のギャップが大きすぎて埋めても埋めても間違いが出てくる。
心が折れそう。
7月25日
エタール亜群の層理論的分類をarxivに上げた。
簡単に言えば、擬群の定義を層理論的に見直すとエタール亜群と1対1に対応する、ということ。
擬群を一般化することによってエタール亜群と対応させるというアイデアは
Resendeも提案しているが、こちらは可逆半群とロケールを使った全く別の手法を用いている。
Resendeの手法ではすべてのSoberな位相亜群を扱うことができるので、論理学や数論のような抽象的な分野では扱いやすそう。
また、quantaleを通してGelfand-Naimarkの定理の非可換版も作れるらしいが、よく知らない。
一方、層理論的な扱いではロケールほどの抽象性はないので、より幾何学的に見やすい。
ただし、T_1公理を満たさない空間では美しい議論ができない。代数的閉体上の代数幾何くらいなら都合がよさそう。
最大の利点として、層化と豊穣化が定義できる。特に、エタールでない位相亜群の取り扱いには層の圏などで豊穣化したりするとよさそう。
7月30日
texがhtmlで使えるというMathJaxを導入したのでテスト。
使い方はこちらを参考。headに適切な文字を打ち込むだけなので簡単。
$\mathbb{R}^n$, $f:A \rightarrow B$, $^\forall x \in X$
XyJaxでXY-picsも使える。こちらを参考。
\[\xymatrix{
A \ar[r]^-f \ar[d]^-g
& B \ar[d]^-{\tilde{g}}
\\
C \ar[r]^-{\tilde{f}}
& D
}\]
webページ作成・編集に関してはそのうちまとめたい。
8月6日
勉強したことにh-原理の内容を少し更新した。
『再考:$\mathcal{F}^*$の定義』というところ。
${\bf hTop}$に値を持つ$B$上の層は非常に扱いやすいことが分かった。
${\bf hTop}$は、h-原理の議論を正当化するために僕が勝手に考えた定義です。
議論を整備することにより応用があるかどうかはわからない。
9月30日
DC2が通ったのでしばらく安心して研究ができる。
ここまで支えてくださった、指導教官の遠藤先生やその他たくさんの皆様に感謝です。
微分ガロア理論がLie亜群や葉層構造と関係しているとのことで、最近少し勉強している。
h-原理を微分ガロア理論に応用できないかと夢を持っていたが、流石に難しそう。
どうやら代数幾何的な視点で見るのが良いらしいのだが、スキーム論の言葉で書いてくれる文献が見つからない。
10月30日
微分ガロア理論の勉強を続けても芽は出なさそうなので一旦保留。素直にh-principleの勉強に戻ります。
勉強したことにh-原理の内容を少し更新した。
変形の圧縮可能性によってflexibilityを特徴づける話。
あとはsharply moveについて整理すればMain Flexibility Theoremが証明できる。
11月12日
講演、論文に講演予定スライドを更新した。
東工大博士セミナーの方はTFSよりも詳しくh-principleについて解説した。
11月25日
講演、論文で東工大博士セミナーの講演予定スライドを訂正した。
偏微分関係$R$がopenかつ$Diff$-不変で多様体がopenならば、$R$はparametric h-principleを満たすが、解の層はflexibleではないらしい。
証明はまだ完全に追い切れていないが、正しいと信じられる程度には気持ちは理解できた。
この証明を抽象的にやるのは難しそうだし、意味もなさそう。
12月18日
勉強したことのh-原理の内容に間違いを見つけたため修正中。
以下の性質が成り立たない。
次の図式の各行が差核ならば、左側の四角は引き戻しである。
\[\xymatrix{
A \ar[r] \ar[d]
& B \ar@<0.5ex>[r] \ar@<-0.5ex>[r] \ar[d]
& C \ar[d]
\\
X \ar[r]
& Y \ar@<0.5ex>[r] \ar@<-0.5ex>[r]
& Z
}\]
これは右列の射が単射ならば正しいが、一般には言えない。
``大きな結論"には影響がなさそうだが、証明のための``便利な補題"は使えなくなりそう。